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換気扇の異音発生!ベアリングの無いモーターを分解して修理してみました

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突然、キッチンの換気扇が悲鳴を上げ始めました。以前にも「キィィーーィン」と異音が発生しましたが、「試しにプロペラ外してみたら」異音はしなくなりました。
安心して使っていたのですが、今度の異音は「キュゴッ・・キュゴゴゴゴ~」という高音で
明らかに使い続けたら危険だと本能的に感じるような音です。

もはや換気扇の交換しかないレベルに思えましたが、換気扇のモーターに付いているベアリング交換をすれば大丈夫という情報を見てチャレンジしてみました。
結果として、DIY修理で見事に換気扇は復活しました。

しかしベアリング交換という手段を想定していましたが、実際にモーターを分解してみるとベアリングはありませんでした!ベアリングの代わりに「オイルレスメタル」というリングでモーターの軸を受けていました。一瞬驚きましたが、この部分のオイルが乾燥してしまったことが原因でした。オイルをさすとモーターは静かに動くようになったので、モーターの分解と修理方法をまとめました。
この記事を読めば、ベアリングを使っていないモーターの異音に悩む方々の参考になりますよ。※実際にモーターの分解と修理を行う際は、安全に気を付けて「自己責任」で作業してください。

ちなみに我が家の換気扇は、富士工業株式会社のFMV-603Lというレンジフードの換気扇でした。台所の壁に取り付けられている「プロペラファン」というタイプの換気扇です。
使用しているモーターの型番は「90216663」です。
かなり古いモーターらしく、ネットで型番を検索しても見つけられませんでした。

 

換気扇の外し方

換気扇のモーターにたどり着くためには、まず換気扇本体を外す必要があります。
換気扇は高い場所に設置されているので、レンジフードを外せば高所作業が楽になりそうですが、レンジフード自体も重そうです。今回はレンジフードはつけたままで作業を進めます。

(1).換気扇のプロペラなどを取り外す

まず、レンジフードの網を取り外して、換気扇本体が見えるようにします。

換気扇のプロペラなどを取り外す手順を説明した写真換気扇のプロペラなどを取り外す手順

安全の為に電源コネクタを外します。次にプロペラの真ん中の止め具を外します。
プロペラを押さえて右側にまわしますが、ピクリとも動きません。
揚げ物料理の油などで強力に密着しているようなので、100均で買った板状の瓶オープナーを止め具に巻いて何とか外しました。プロペラを外したら換気扇のカバーを外します。下の部分で固定されているので、下に下げるようにして外します。

(2).換気扇の本体を壁の枠から取り外す

換気扇上部に蝶ネジは2つで固定されているので取り外します。

換気扇の本体を枠から取り外す手順を撮影した写真換気扇の本体を枠から取り外す手順

これも油汚れ等でなかなか回ってくれません。プライヤーを使って何とか取り外しました。
(もうすでに両腕が痛い・・・)
これで換気扇本体が外せると思ったら、さらにビス4本で固定されていました。
結構長いビスなので電動ドライバーを使ってビスを外して、ようやく枠から換気扇本体が外れました。

換気扇の本体を取り外した後の枠を撮影した写真換気扇の本体を取り外した後の枠

枠の先は本当に屋外なんですね・・・冷たい風が入ってきます。

(3).換気扇のモーターを取り外す

換気扇本体の右下に基盤を保護するケースが見えるので、これを外してからモーターを外します。

換気扇本体のモーターと基盤保護ケースを説明する写真換気扇本体のモーターと基盤保護ケース

換気扇の右側面に、この基盤を保護するケースを固定するネジがあるので外します。

基盤保護ケースを固定するビスを撮影した写真基盤保護ケースを固定するビス

基盤を保護するケースを外したらケースのふたを開けて、モーターからつながっているコネクタを外します。

ケースのふたを開けて内部を撮影した写真ケースのふたを開けてコネクタを外します

モーターをフレームに固定している2カ所のネジを外します。

モーターをフレームに固定しているネジを撮影した写真モーターをフレームに固定しているネジを外します

これでようやく、モーターが取り外せます。

モーターを分解する手順

ようやくモーターが取り出せました。小さいですが意外とずっしり重いですね。
軸を回してみましたが、特に異音などは確認できませんでした。高速で回転すると異音が出るのかもしれません。このままでは何もできないので、モーターを分解して中を確認します。

(1).モーター本体のネジ2カ所を外す

モーター本体はネジ2カ所で固定されているので外します。

モーター本体のネジを撮影した写真モーター本体のネジを外します

ここで注意点なのですが、めちゃくちゃ固く締めあげられています。
うっかり普通の電動ドライバーで外そうとすると、ネジ穴を潰してしまう恐れがあります。
インパクトドライバーか大きいドライバーを使ってネジを外してください。

僕は普通の電動ドライバーをつかってしまったので、ネジ穴を潰しました。
(潰したネジは電動ドリルで切り取るはめに・・・涙)

(2).モーターのピンを抜く

モーターの軸にはピンがささっています。
このままではピンが邪魔で軸受けを見ることができませんので、ハンマーでピンを叩いて抜きます。ピンは左右の直径が同じサイズでしたので(ノギスで確認)、どちら側を叩いても大丈夫でした。

モーターのピンを叩いて外す手順を説明した写真モーターのピンを叩きます

しかし、ピンが軸に埋まる位置まで叩いてもペンチでは引き抜けませんでした・・・結構きついピンですね。そこで小さい釘を見つけて、釘の頭の部分をピンに当てて細いほうをハンマーで叩いてピンを抜きました!

モーターのピンを押し出す外す手順を説明した写真モーターのピンを押し出します

写真の石ですが、軸を水平にさせるために置きました。ちょうどいい高さの板がなかったので石で代用しました。

(3).モーターのケースを開くとベアリングが無い

モーターの接合部分をカッターなどでこじ開けて、ケースを2つに開きます。
ようやくモーター本体を見ることができます。モーターの内部は結構きれいですが、交換しようとしたベアリングが見当たりません・・・

モーターを分解してベアリングが使われていない写真モーターにはベアリングが使われていませんでした

軸受けに金属のリングが入っていて、これがオイルレスメタルという金属でできているようです。プロペラ側の軸にもベアリングはありませんでした。

プロペラ側の軸にもベアリングが使われていない写真プロペラ側の軸にもベアリングが使われていません

軸の根元が汚れていますね・・・オイルが乾燥したことによってフェルトが劣化したと思われるので、ウエスで汚れを拭いておきます。

 

モーターの軸受けにオイルをさす方法

(1).モーターの軸受けを外す

ベアリングが無いタイプなので、軸受けに直接オイルをさすことにします。
後ろの軸受けの部分を外すために、カッターなどで4か所のツメをおこします。

カッターなどで4か所のツメをおこす写真カッターなどで4か所のツメをおこします
軸受けを取り外した写真軸受けの中の写真です

軸受けは、リングのストッパー、軸を受けるリング、フェルトの3つのパーツが入っていました。

軸受けのパーツを説明した写真軸受けのパーツです

フェルトにはオイルが染み込んでいたと思われますが結構乾燥しているので、オイル切れで異音が発生したと判断しました。ピンを抜いた方の軸受けは、モーターのコイル部分が干渉していて外せません・・・よーく見るとこちらのフェルトは完全に乾燥しているようです。

ピンを抜いた方の軸受け内部を説明した写真ピンを抜いた方の軸受け内部

コイル部分をペンチで強引に抜こうかとも思ったのですが、コイルを傷つけたら動かなくなりそうなので断念しました。もっとよく見ると軸受けの裏側からオイルをさすことで、フェルトにオイルが染み込みそうです。

(2).オイルの選定

物置には古いグリス(昭和シェル製グリス)があったのですが、固形のグリスよりも液体のオイルの方が軸受けのフェルトになじむと思いました。
そこで、「エーゼット製のタービンオイル」を使うことにしました。

モーターに使うオイルを撮影した写真このオイルを使用します

オイルのラベルに『各種タービンの軸受けに』と書かれているので、キッチンの換気扇用なら問題無いと考えました。スポイトは、以前セリアで買っておいたものを使用します。

 

(3).スポイトでオイルをさす

スポイトでオイルを吸い取って、後ろの軸受けのフェルトにオイルをさします。

後ろの軸受けにスポイトでオイルをさす写真後ろの軸受けにスポイトでオイルをさします

どのくらいさせばいいのか分からないのですが、スポイトのメモリで約50mlさしました。ピンを抜いた方の軸受けは、モーターのコイル部分が干渉していて外せませんので、
取り外しは断念して軸受けの裏側からスポイトでオイルをさしました。
こちらも50mlくらい、フェルトとリング周辺に染み込むようにスポイトでさしました。

前の軸受けにスポイトでオイルをさす写真前の軸受けは裏側からスポイトでオイルをさします

コイル部分にオイルが付かないように慎重に作業します。

(4).分解したモーターを元に戻す

モーターの裏側の軸受けを取り付けて元に戻します(4カ所の爪で固定します)。

後ろの軸受けを取り付ける写真後ろの軸受けを取り付けます

裏側のケースの軸受けに軸をさしこみます。すっと入るかと思ったのですが入らなかったので、力を込めてはめました。

後ろの軸受けに軸をさしこむ写真後ろの軸受けに軸をさしこみます

プロペラをつける側の軸も根元部分をウエスで拭いてオイルをつけました。
モーターのプロペラ側のケースを軸受けの穴に通して、ケースを元に戻します。

モーターを元に戻す写真モーターを元に戻します

こちら側も最後がすっと入らなかったので力を込めると、ぱこっとはまりました。
その後、モーター本体をネジ2本で固定してモーターの修理は完了です。
(実際には1個のネジはドリルで切ってしまったので、その辺にあったM4のネジとナットで固定しました)

ここですぐにモーターを取り付けて動作確認したいのですが、オイルが十分にフェルトやリングになじむように1晩寝かせておきました(無事に直りますようにと祈りながら)。

 

換気扇を元に戻して動作確認

「01.換気扇の外し方」の逆の手順で換気扇を元に戻します。
写真は撮っていませんが、下記の手順になります。

(1).モーターを換気扇のフレームに固定します
(2).基盤を保護するケースを換気扇に固定して、モーターの電源コネクタを取り付けます
(3).換気扇本体を壁の枠に設置します
(4).ビス4本と蝶ネジで換気扇本体を壁に固定します(上げっぱなしの腕が限界に・・・)
(5).換気扇のカバー、プロペラを取り付けます。
(6).電源コネクタを取り付けて、ようやく元に戻りました。

そして換気扇の電源を入れると・・・静かにプロペラが回り始めました!

直った換気扇を撮影した写真静かにプロペラが回っています

「キュゴッ・・キュゴゴゴゴ~」という高音もしません。静かに排気する音だけです。
ついに換気扇のDIY修理に成功したのです!!

まとめ

それから1週間経過しましたが、異音の再現もなく正常に換気扇は動いています。
素晴らしいですね~換気扇の交換なら2万円くらいかかったかもしれません。
あとどのくらい動いてくれるかわかりませんが、メンテ方法はわかったので安心です。

さて今回かかった費用ですが、残念ながら0円ではありません。
モーターの軸受け用に「エーゼット製のタービンオイル」を購入しました。
これがかなり効果的でして、オイルをさして半年経過しましたが換気扇は静かに動作しております。



換気扇の設置から約15年くらいで今回の修理を行いましたので、あと10年くらいは元気に動いてくれるかもしれませんね。
換気扇を外したついでに換気扇の外側の汚れも掃除できたので、自分でも納得のいくDIY修理でした。みなさんも「モーターの型番:90216663」の故障時には参考にしてください。(ネットで探せないくらい古いモーターなので、需要が無いかもしれませんが)

※実際にモーターの分解と修理を行う際は、安全に気を付けて「自己責任」で作業してください。

今回気が付いたのは、ふつうの電動ドライバーの使い方についてです。
便利なのでついつい使いがちですが、固く締めあげられているネジには使わないほうがいいです。ネジ穴を潰した瞬間の絶望感と言ったらもう・・・
大きなドライバーを使うか、インパクトドライバーを使いましょう。

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