ウィンターシーズンがやってきました。
初すべりは「栂池高原スキー場」に行ってきました。
ここはゲレンデが広いので子供達を一緒にすべっても安心ですね。
子供達と奥さんはスキー、僕はスノーボードを思いっきり楽しみました。
さて先日、板にワックスを塗ろうとして物置を探していたところ「古いウェア」を見つけました。いま使っている18年前のウェアよりももっと古い、20年以上前のウェアです。
またゴミがあったかぁ~と古いウェアを広げてみると、まだまだ使えそうなくらいキレイでした。というわけで、約20年ぶりに現役にもどしてウェアを着てみました。
ゲレンデでは、ウェアに問題は特にありませんでした(撥水性はゼロでしたが)。
ところがウェアを脱ぐと、下の服が白い粉だらけなのです!
ウェアの裏生地から白い粉が出ているのです。
ウェアをたたいてみると、一斉に白い粉が噴き出ます!!
白い粉の正体は、生地裏のポリウレタン・コーティングが劣化してはがれたものでした。
まだまだ使えそうなウェアを、粉だらけだからといって捨てるのはもったいないです。
この記事では、ポリウレタンが劣化した古いウェアを復活させる方法をまとめました。
記事を書いた人:みっく
・エンジニアとして勤務
・社内のサーバー管理、セキュリティ管理も担当
・DIYと料理が大好き、週末は料理担当
ウェアについた白い粉の正体は?
こちらが物置で見つけた、20年以上前の古いウェアです。
かなり古いウェアですがキレイなので、まだまだ使えそうです。ところが内側を見ると、たくさん白い粉がついています。
ウェアをこすると、白い粉が大量に発生します。ウェアについた、白い粉の正体は何でしょうか?
ウェアの表側ではなく、裏側から大量の粉が出てきます・・・
では、ウェアの素材を確認してみます。
このウェアは、ポリウレタンでコーティングされていました。「POLYESTER WITH POLYURETHANE COATING」と書かれているので、
裏生地はポリウレタンでコーティングされているようですね。
ポリウレタンの特性を、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみました。
化学的性質
抗張力や耐摩耗性、耐油性に優れるが、耐熱性や耐水性は他の合成ゴムに比べ低い。
水分による加水分解や空気中の窒素酸化物(NOx)、塩分、紫外線、熱、微生物などの影響で、徐々に分解される。分解はその素材が合成された時から始まる。劣化
素材が合成された時点から加水分解などによる劣化が始まり、高湿度下では、劣化が促進される。日用品で経時劣化に伴うトラブルも多い。靴底に使用されているウレタンの劣化破損では、捻挫などの怪我を負う例が報告されている。この劣化は、使用回数などとは無関係で進む。
ポリウレタン製のウェアは使用回数とは関係なく、製造された日から劣化が始まっているのです・・・20年以上前に買ったウェアなので、ポリウレタンが劣化しても不思議ではありませんよね。
劣化したポリウレタンがはがれて、粉だらけになっています。すべての劣化したポリウレタンを、こすって落とすのは時間がかかりそうです。
別の方法で、一気に落としたいですよね。
劣化したポリウレタンを、ウェアから取る方法
ポリウレタンは酸性の物質です。
劣化したポリウレタンならば、アルカリ性の液体につければ一気にはがせそうです。
まずは、この古いウェアが洗濯できるかを確認します。
ウェアに書かれた「洗濯とお手入れの手順」によると、洗濯とアイロンがけができます。
「洗濯とお手入れの手順」を確認すると、洗濯ができるようです。洗濯ができるウェアだったので、アルカリ性の液体につけおきしてみます。
アルカリ性の物として、家にあった掃除用の「セスキ」を使用してみます。
セスキは「弱いアルカリ性」なので使えそうです。ウェアのつけおきには、下記を用意しました。
・セスキ…重曹でも代用可能です。
・バケツ…大きめのバケツを用意しましょう。
・お湯…シャワーのお湯を使いました。
・手袋…使わないと手が荒れます(荒れました)。
・ザル…セスキ水から劣化ポリウレタンをこすのに使います。
・リード…劣化ポリウレタンを取り除くフィルターにします。
洗ったバケツに、セスキを大さじ10くらい入れます。
セスキの量は、だいたい大さじ10くらい入れました。セスキを入れたバケツに、お湯を入れます。
ウェアを入れるので、お湯はバケツの7割ほど入れました。裏返しにしたウェアを、セスキを溶かしたお湯につけこみます。
つけこんだ瞬間から、大量の白い粉が浮かんできます。時々かきまぜながら、約3時間ウェアをつけこみました。
お湯は黄色っぽく変色して、はがれた劣化ポリウレタンが沈殿しています。
20年以上の年月を感じさせるような光景です。つけこんだセスキ水を捨てて、ウェアをすすぎます。
はがれたポリウレタンを排水に流したくないので、リードをフィルターにします。
キッチンペーパーだと破れそうなので、キッチンにあったリードをフィルターにします。つけこんだセスキ水をすてました。リードには大量の劣化ポリウレタンが残っています。
劣化ポリウレタンのフィルターとして、リードは使えますね!
リードをフィルターに使うのは、なかなかいいアイディアでした。ウェアをすすいで干そうと思ったのですが、何度すすいでも大量の劣化ポリウレタンが浮き出てきます・・・
すすぐ作業にあきてきましたが、まだ完全にとりきれないようです。最終的にウェアは15回くらいすすいで、終わりにしました(飽きました)。
リードは合計3枚フィルターとして使いました。
何回も排水していくと、だんだんリードが目詰まりしてきます。ようやくすすぎも終わって、外に干しました。
脱水をしていないので、乾くのに2日くらいかかりました。
気になる結果ですが、背中の部分をこすっても白い粉が出てきません!!
これは成功かと思ったのですが、腕の部分をこすると白い粉が出てきました。
ウェア腕の部分は筒状になっているので、はがれにくいのかもしれません。
残念ながら、ウェア腕の部分からは白い粉が出てきます。両腕の部分のみ、もう1回セスキ水につけこみます。
やはり腕の部分には、劣化ポリウレタンがたくさん残っていたようです。約3時間つけこんだ後に、リードをフィルターにして排水します。
そして10回ほどすすぎます。もう手慣れた作業になりました。
約2日ほど干してウェアは乾きました。さあ今度はどうでしょうか?
ウェアの背中や胸の部分をこすっても、白い粉は出てきません!
ウェアの背中や胸の部分はキレイになりました。そして問題の腕の部分ですが、こすっても白い粉は出てこなくなりました!
合計2回のセスキつけこみが効いたようです。
腕の部分の劣化ポリウレタンもキレイにとれました。・ウェアのつけおきよりも、すすぎに時間と手間がかかります。
・腕の部分の劣化ポリウレタンは、とても取りにくいです。
ウェアの撥水性を、復活させる方法
古いウェアの、劣化ポリウレタンをはがすのに成功しました。
スノボのウェアとして使えそうですが、古いウェアなので撥水性はゼロです。
撥水どころか、水はどんどん吸い込まれているようです。せっかくなので、撥水性も復活させたいと思います。
今回は撥水剤として有名な「NIKWAX」を使ってみます。
NIKWAXの洗剤と撥水剤(スプレータイプ)、100均のスプレーボトルです。用意するものです。
・TECH WASH … 撥水前にウェアを洗う洗剤です。
・TX.DIRECT SPRAY-ON(詰め替え用) … スプレータイプの撥水剤。
・スプレーボトル … 詰め替え用の撥水剤を入れてスプレーします。
「TECH WASH」は、撥水スプレーをする前にウェアを洗う洗剤です。
セスキ水につけこんでキレイになっているから必要ない気もしますが、メーカの説明では
撥水効果が上がるらしいので使ってみます。
つけこみタイプの「TX.DIRECT WASH-IN」と、スプレータイプの「TX.DIRECT SPRAY-ON」が用意されています。つけこみタイプだとウェアの内側のメッシュも撥水されるので、スプレータイプにしてみました。
「TECH WASH」でウェアを洗う
まずはウェアが洗濯できるか調べましょう。
このウェアは、セスキ水につけこむときに調べましたが洗えます。
つぎに、「TECH WASH」の使い方を見てみます。
使用方法によると、洗濯機で洗うことができるようです。洗濯機で洗えるウェアだと、洗濯→すすぎ→脱水が自動なので手間がかかりませんね。
洗濯機は許可が下りなかったので、手洗いでていねいに仕上げたいと思います。
ボトル裏に書かれた内容は、洗濯機での洗い方でした。
手洗いの場合は、水を18リットルと、「TECH WASH」を100mL使うようです。
今回はバケツが小さいので、約9リットルのお湯をバケツに入れます。そして50mLの「TECH WASH」をバケツに入れました。
お湯はお風呂の残り湯を使いました。ウェアのジッパーやベルクロを閉めます。
「TECH WASH」を入れたバケツに入れて手洗いします。
手洗いしても白い粉(劣化ポリウレタン)は浮いてきません。ある程度洗ったら、15分くらいつけこんでおきます。
ウェアが浮いてくるので空気を抜いてつけこみます。15分くらい経ったらバケツの水を捨てて、すすぎます。
水が透明になるまですすぎました。「TECH WASH」での手洗い洗濯が終了しました。脱水していないので水びたしです。
この状態で「TX.DIRECT SPRAY-ON」をスプレーするのは無理なので、しばらく自然乾燥しておきます。
「TX.DIRECT SPRAY-ON」でウェアの撥水処理をする
「TECH WASH」で洗った後に。自然乾燥で朝まで干しておきました。
では、「TX.DIRECT SPRAY-ON」の使い方を見てみましょう。
「TX.DIRECT SPRAY-ON」のボトルに書かれた使い方です。ボトル裏に書かれた使用方法です。
①ウェアが濡れた状態でスプレーする。
②白色の液だれは、ふき取らないとシミになる。
③ウェア1着では、約250mlをスプレーする。
ウェアが濡れた状態でスプレーするようです。
約10時間干してだいぶ乾燥していたので、シャワーで少し濡らしました。
今回買った「TX.DIRECT SPRAY-ON」は詰め替えタイプなので、スプレーボトルに入れてから使います。
100均で買ったスプレーボトルを使いました。ハンガーにつるしたウェアに「TX.DIRECT SPRAY-ON」をスプレーしていきます。
霧状態にすると、効率よくスプレーできますスプレーすると「TX.DIRECT SPRAY-ON」がウェアからたれてきます。
屋内だと床が濡れてしまうので、屋外で使うことをおススメします。
スプレーしすぎた白い液だまりは、ウェアの生地にすりこみました。
ボトル裏の使用方法には「タオル等でふきとる」と書いてありましたが、
ウェアに浸透させた方が撥水性が良くなると思ったからです。
スプレーしていくと、白い液がたれてきます。「TX.DIRECT SPRAY-ON」のスプレーが完了しました!!
このまま、自然乾燥するのを待ちます。
ようやくNIKWAXによる洗濯と撥水処理が終わりました。ウェアはこの後、約1日ほど自然乾燥しました。
見た目は「TX.DIRECT SPRAY-ON」のスプレーをする前と同じです。ウェアの手触りも、特に変化はありません。
ニオイについて「ちょっと酸っぱいような」感じがしますが、僕も子供達も特に気になるようなレベルではありませんでした。
では、実際に水をかけて撥水効果を試してみます。どうなるでしょうか・・・
な、な、何とぜんぜん撥水しません!!あっさりと生地に染み込んでいきます。
期待していた撥水効果はありませんでした・・・
「TX.DIRECT SPRAY-ON」の撥水効果を引きだすコツは?
ばっちり水を弾くウェアをイメージしてシャワーをかけたので、唖然としてしまいました・・・
あきらめの気持ちも出てきましたが、何か足りないのでは?と気持ちを切りかえました。
もう一度ウェアに書かれた「洗濯とお手入れの手順」を見ると、アイロンがけができるマークがあります。アイロンがけすれば撥水効果が出るのかもしれません。
アイロンがけは面倒なので、部屋の暖房に使っている「ファンヒーターの熱風」にあててみることにしました。
ファンヒーターから少しはなれた所にウェアをおきます。ウェアにダメージがあるとマズいので、ウェアが暖まる程度の位置で熱風にあてます。
ウェアのおもて側で約5分、うら側で約5分。合計で10分ほどウェアを暖めました。
ウェアの生地は完全に乾燥されたようです。
祈るような気持ちを込めて、もう一度水をかけてみます。どうなるでしょうか・・・
こんどはシャワーの水をしっかりと弾いてくれました!!
ウェアの撥水した水の球が、気持ちよく落ちていきます。あっさり水か染みこんでいた撥水処理前とは、別物のウェアに生まれ変わりました!!
「TX.DIRECT SPRAY-ON」の使い方には熱処理が必要と書いていません。
しかし撥水効果が感じられなかったので、ファンヒーターの熱風をあてると撥水効果が引き出せました。
「TX.DIRECT SPRAY-ON」をスプレーしても撥水しない場合には、
ファンヒーターやドライヤー等の熱風にあててみることをおススメします。
撥水処理前と後の写真の比較です。NIKWAXの撥水性はネットで見たことがありますが、実際に使ってみると感動しますね。
粉だらけだった20年以上前のウェアがキレイになり、撥水性を取り戻して復活しました!
これから春スキーの季節になるので、この薄いウェアが活躍しそうです。
まとめ
今回は、古いスノーボードのウェアを復活させる手順を紹介しました。
粉だらけだった20年以上前のバートン製のウェアを、2つの手順で復活させました。
| 手順① | 白い粉の正体は劣化したポリウレタンです。 酸性なので、弱アルカリ性の「セスキ水」ではがせます。 注意:セスキ水につけこむだけでなく、何回もすすぎが必要でした。 |
| 手順② | NIKWAXの「TECH WASH」で手洗いします。 すこし乾いたら「TX.DIRECT SPRAY-ON」をスプレーします。液がたれてき たらウェアにすりこみます。スプレーしたら、自然乾燥させます。 注意:もし撥水しなかった場合は、熱風にあてると撥水効果が引き出せます。 |
ポリウレタンが劣化した古いウェアだったので「手順①」が必要でしたが、
撥水性がなくなっただけのウェアでしたら「手順②」だけで撥水性が復活しますよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


