年末の大掃除で、クローゼットから古いノートパソコンがでてきました。
富士通製:FMV-BIBLO NB14Bです。

WindowsXPパソコンは仮想マシンにインストールしてあるので、このパソコンは必要ありません。ハードディスクに写真や個人情報が記録されているので、捨てられずにいました。
せっかく発見したので、電源ONして動くようならハードオフに持って行こうかと考えました。ところが、眠っている間にいろいろな不具合を身につけたようです。
①ファンの音が異常にうるさい
②BIOS電池が切れたようでWindowsXPが起動してこない
電源ONすると、「ヴ、ヴヴィィィィ・・・」このファンの音は何でしょうか?
キッチンの換気扇の故障の時以来、久々に聞きましたよ。
本体を傾けると音も変わるので、ファンの軸が問題のようです。
そしていくら待ってもWindosXPが起動してきません。
[F2]キーを押すとBIOSメニュー画面が表示されました。

う~ん、20年も経過していれば、リチウム電池も電池切れになりますよね。
PS2だって同年代で、電池切れしたので交換しましたから。
この不具合①②をDIY修理したうえでHDDのデータを消去して、このノートパソコンを処分することにしました。
分解やマザーボードの取り出しが面倒でしたが、うるさいファンが静かになってWindowsが正常に動くようになりました。
この記事では古いノートパソコンのDIY修理と、ハードディスクの消去方法をまとめました。実際にトライする場合は感電に気を付けて、自己責任でトライしましょう。
記事を書いた人:みっく
・エンジニアとして勤務
・社内のサーバー管理、セキュリティ管理も担当
・DIYと料理が大好き、週末は料理担当
FMV-BIBLO NB14Bを分解する方法
パソコンの頭脳である、CPUを冷やすのがCPUクーラーです。
このCPUクーラーにファンがついています。
ファンを動かして空気をCPUにあてて、CPUの熱を排熱しています。
自作のディスクトップパソコンでしたら、ケーズをはずせばCPUクーラーがすぐに見つかると思います。しかしノートパソコンはケースが小さく、部品が詰まっているので分解するのが面倒です。あると便利なTOOLを紹介しておきます。
これ1セットあれば、いろいろな分解に役立ちますよ。
コネクタのツメやロックが小さいので、僕には必須でした。
①バッテリー、光学ドライブ、フロッピーディスクドライブをはずす
では、ノートパソコンを分解していきましょう。
電源ケーブルを抜いて本体を裏返しにします。ノートパソコンのバッテリーをはずします。

光学ドライブ(CD/DVDドライブ)と、フロッピーディスクドライブを固定しているネジをはずします。

ネジをはずしたら、光学ドライブ(CD/DVDドライブ)を引き抜きます。

次にフロッピーディスクドライブを取りはずします。

フロッピーディスクドライブには、フレキシブルケーブルが接続されています。

フロッピーディスクドライブが接続していると、マザーボードを取り出せません。
コネクタのロックを解除して、フレキシブルケーブルをはずします。

②キーボードと液晶ディスプレイのコネクタをはずす
今度はパソコンを表向きに戻して、液晶ディスプレイを開きます。
前面パネルのゴムキャップをはずすと、ネジ1個が見えます。
このネジをはずして、前面パネルをはずします。

前面パネルの下には、キーボードを固定しているネジ2個があるのではずします。

キーボードは裏側の両面テープで固定されています。
透明フィルムを引っ張って、キーボードをはがします。

キーボードをはがして、下にずらしました。

液晶ディスプレイを固定しているパネルの下に、マザーボードを固定しているネジ2個があります。なので液晶ディスプレイを固定しているパネルをはずす必要があります。
しかしこのパネルのネジをはずすと、液晶ディスプレイがはずれてしまいます。
直角に近い角度だと液晶ディスプレイを戻すのに苦労します・・・
あらかじめ、液晶ディスプレイを角度付けしておきましょう。

液晶ディスプレイを固定している、パネルのネジ5個をはずします。

パネルをはずすと、ネジ2個がかくれています!
これが見つけられなくてマザーボードをはずせずに苦戦しました・・・
合計で4個のネジをはずすと、マザーボードを固定しているネジは裏側だけになります。

キーボードを接続しているコネクタから、ケーブルををはずします。

液晶ディスプレイを接続しているコネクタをはずします。
ケーブルを固定している黒いテープをはがしてから、コネクタをはずします。

これでマザーボードをはずす準備ができました。
液晶ディスプレイがズレていると面倒なので、ここでいったん元にもどしておきます。
パネルをはめてネジ4個で固定します。

③背面ケースをはずします
パソコンを裏返しにして、銀色のネジ4個と黒色のネジ5個をはずします。

ようやく背面ケースをはずせました。中央にCPUクーラーが見えます。

ここまでの分解で、マザーボードを表側から固定しているネジをはずしているので、
ファンを修理してから電池交換を同時に行えます。
ファンの異音を修理する方法
ようやく分解できたので、CPUクーラーのファンを修理します。
まずはCPUクーラーのコネクタをはずしましょう。・・・ところがはずれません。
力を入れてもはずれません!コネクタの基盤部分がこわれそうなので、コネクタは接続したままで作業することにしました。

CPUクーラーを固定しているネジ4個をはずします。

CPUクーラーをはずしましたが、何となく違和感があります。
「あまりにもあっけなく」CPUクーラーが取りはずせたのです・・・
CPUグリスが粘着するような抵抗感がありませんでした。
このCPUクーラーは、7ヵ所のツメを広げると分解できます。

CPUクーラーを分解しました。意外にも中身はキレイでした。

CPUクーラーのファンをはずしてみました。
特に汚れていませんがグリスも見えません。

CPUグリスを見てみると、先ほどの違和感の理由が分かりました。
CPUグリスは乾燥して、ワックスのように固まっていました・・・

CPU熱の伝導力は皆無になっていますね。無水エタノールでキレイに拭き取りました。
ではファンの軸にグリスを塗りましょう。こちらのシリコングリスを使いました。

ファンの軸に「つまようじ」を使ってグリスを塗ります。

ファンの軸受けにも「つまようじ」を使ってグリスを塗りました。
グリスの量ですが、だいたいゴマ1粒くらいを塗ります。

ファンを軸受けに戻してから一旦ファンを取り出します。
そして軸受けに、もう1回グリスを塗ります。
ファンを軸受けに戻して、CPUクーラーのケースを戻します。

先ほどCPUグリスを拭き取ってしまったので、新しくCPUグリスを塗ります。
このCPUグリスは、とても塗りやすいです。

CPUグリスを塗ってから「つまようじ」で薄く塗り広げました。

CPUクーラーを元の場所に戻して、ネジ4個で固定します。

BIOS保存用のボタン電池を交換する方法
ファンを修理したので、次はBIOS保存用の電池を交換します。
マザーボードを固定している、ネジ11個をはずします。

マザーボード下右側の、小さいコネクタをはずします。
ツメを上に起こして、フレキシブルケーブルをはずします。

マザーボード下左側の、大きいコネクタをはずします。
コネクタのロックを上に起こしてはずします。

ようやくマザーボードの裏側が見えました!
しかし、短いフレキシブルケーブルが接続しているので断線に注意しましょう。

ボタン電池のコネクタをはずします。

ボタン電池を包んでいる、黄色い絶縁カバーをカッターで切ってはずします。

ボタン電池の型式は「CR2330」でした。

ボタン電池の電極は、ハンダづけされています。
カッターで電極を浮かせて、ラジオペンチで電極をはがしました。

ようやくボタン電池から電極がはずれました。

ボタン電池「CR2330」はAmazonでは売っていましたが、近場のホームセンターには売っていませんでした。代用として、少し小さくて厚いボタン電池「CR2032」を使いました。
型式 | 種 類 | 外径 | 高さ | 電圧 |
CR2330 | コイン形リチウム電池(CR) | 23mm | 30mm | 3V |
CR2032 | コイン形リチウム電池(CR) | 20mm | 32mm | 3V |
電極を電池にハンダづけするのは面倒なので、マスキングテープで貼り付けました。

もともとCR2330が入っていた絶縁カバーを再利用します。

絶縁カバーは両面テープでマザーボードに固定されていますが、両面テープの粘着力がなくなっていました。そこで、「貼ってはがせるのり」を絶縁カバーに塗って乾燥させます。

のりが乾燥したら、ボタン電池をマザーボードに貼り付けます。
ボタン電池のコネクタも接続しておきます。

マザーボードをパソコン本体に戻して、ネジで固定します。

右下のコネクタに、フレキシブルケーブルを差し込みます。
ロックを下ろしてフレキシブルケーブルを固定します。

マザーボード下左側の大きいコネクタに、フレキシブルケーブルを差し込みます。
コネクタのロックを下げて、フレキシブルケーブルを固定します。

電源スイッチのプラスチック部品がはずれた場合は、電源スイッチの黒色レバーを折らないように気をつけましょう。プラスチック部品の四角い穴に、黒色レバーをさしこみます。

背面ケースをかぶせて、ネジ9個で固定します。

液晶ディスプレイを固定しているパネルの下に、マザーボードを固定しているネジ2個をしめる必要があります。まずは液晶ディスプレイを固定しているパネルをはずします。

液晶ディスプレイを固定しているパネルの下に、ネジ穴は2個あります。
これを含めて、ネジ4個でマザーボードを固定します。

液晶ディスプレイを固定しているパネルを、ネジ5個で固定します。

液晶ディスプレイのケーブルをコネクタに接続します。
キーボードのケーブルも、コネクタに接続します。

キーボードを元に戻して、ネジ2個で固定します。

前面パネルを元に戻して、ネジ1個で固定します。

光学ドライブ(CD/DVDドライブ)を、本体に差し込みます。

フロッピーディスクドライブのフレキシブルケーブルを、コネクタに接続します。
フレキシブルケーブルの断線に注意しましょう。

フロッピーディスクドライブを、元に戻します。

バッテリーを元に戻します。
光学ドライブ(CD/DVDドライブ)とフロッピーディスクドライブをネジで固定します。

これでBIOS設定保存用の電池交換が終了しました!では電源ONしてみましょう。
ファンの音は・・・異音はしません!!ファンは静かに回っています。
グリスを塗ることで、ファンの異音が消えました!

電池交換して最初の起動なので、[F2]キーを押してBIOS設定画面を表示します。
言語:日本語、日付・時刻を設定して保存します。
電池交換が成功していれば、再起動すればWindowsXPが立ち上がってくるはずです。
パソコンを電源OFFして電源ケーブルを抜いて、数分待ちます。
再び電源ケーブルをさして電源ONしてみると・・・・
見事にWindowsXPが起動してきました!!ファンの音も静かで快適です!

ハードディスクのデータを消去する方法
ようやくノートパソコンが普通に動くようになりました。
これをハードオフに持って行くために、ハードディスクのデータを消します。
ハードディスクをフォーマットするだけだとデータ復旧ソフトを使って、個人情報が記録されたファイルを見られる可能性があります。
つまりハードディスクをフォーマットしたり全てのセクタに0を書き込むだけでなく、乱数を書き込んだりして、もともと書き込まれていたデータを復元しにくくします。
今回は、個人利用では無料で使える「DESTROY」というソフトを使ってみます。
このソフトを使えば、OSであるWindows領域も消せます。
動いている自分(Windows)で自分を消せるの?なんて思ってしまいますが、このソフトはCD/DVDに焼いて使います。
このソフトを焼いたCD/DVDを起動ディスクにしてパソコンを立ち上げて、ハードディスクを消していきます。
CD/DVDで動いているので、ハードディスクのWindows領域も消せるということです。
次の手順でハードディスクを消していきます。
<<現在使っているパソコンでの作業>>
①DESTROYのダウンロード
②DESTROYのCD/DVDディスクを作成
<<ハードディスクを消去するパソコンでの作業>>
③BIOSの起動オプションで光学ドライブを最優先にする
④CD/DVDディスクでパソコンを起動する
⑤メニューにしたがってハードディスクを消去する
では、上記の手順でハードディスクを消していきましょう。
①DESTROYのダウンロード
まずはDESTROYをダウンロードします。
作者である、藤原武さまのホームページに行きましょう。
DESTROYは家庭での個人使用のみ無料で使えます。
企業・団体での無断使用はできないので注意しましょう。
ページ左側の「DOS Tools」の中に、便利なTOOLがあります。

この中にDESTRYがあります。
作者である藤原武さまに感謝しながら、ダウンロードしましょう。

②DESTROYのCD/DVDディスクを作成
ダウンロードしたdesty322.zipを解凍すると、6本のファイルが生成されます。

この6本のファイルのうち「DESTY322.ISO」をCD/DVDに書き込みます。
同じような名前のファイル「DESTY322.IMG」と間違えないようにしてください。
僕は「CDBurnerXP」というソフトを使って、「DESTY322.ISO」というファイルをCD/DVDに書き込みました。
「CDBurnerXP」を起動して「ISOイメージの書き込み」をクリックします。

「書き込むISOイメージの選択」に「DESTY322.ISO」を設定して、
「ディスクの書き込み」をクリックします。

約3分ほどでCD/DVDの書き込みが終了しました。

では書き込んだCD/DVDの中身を見てみましょう。
「boot.catalog」「boot」の2ファイルがあれば、書き込みの成功です。

③BIOSの起動オプションで光学ドライブを最優先にする
ノートパソコンを再起動します。[F2]キーを押してBIOS設定画面を開きます。
BIOS設定画面の「起動」画面より、「起動デバイスの優先順位」を開きます。
「CD-ROMドライブ」を選択して、スペースキーを押して一番上に移動させます。
(一番上が、最優先のドライブになります)
これにより、DESTROYのCD/DVDディスクでパソコンが起動することになります。

④CD/DVDディスクでパソコンを起動する
DESTROYのCD/DVDディスクを光学ドライブにセットして、パソコンを再起動します。
DESTROYのライセンスチェック画面が表示されます。
個人使用なので[P]キーを押します。

データ消去するドライブを選択するので、[F]キーを押します。

データ消去するドライブは「Drive 0」なので[0]キーを押します。

⑤メニューにしたがってハードディスクを消去する
DESTROYのメイン画面に戻りますので、データ消去の方法を選択します。
今回は7番のNATO方式を選んでみました。

データ消去の最終確認が表示されます。[y]キーを押すとデータ消去が開始します。

寝ている間にデータ消去していたので正確な時間は不明ですが、約10時間後には終わっていました。

DESTROYのメイン画面に戻ったら[ESC]キーを押して、DESTROYを終了させます。
DESTROYのCD/DVDディスクを光学ドライブから取り出して、パソコンを再起動します。
「Operating System not found」と表示されました!!
これでハードディスクのデータが消去されました。

ハードディスクがキレイに消去できました。
これをハードオフに持っていくので、OSを再インストールします。
リカバリディスクを使って、WindowsXPを再インストールしていきます。

WindowsXPとOfficeを再インストールしました。

ついでにOfficeXPもインストールしておきました。

これで安心してハードオフに持っていけますね。
物置に入っていた、パソコンの段ボール箱に収納して持っていきました。

はい。こちらがハードオフの明細です。買取金額は・・・500円でした。

まとめ
今回は古いノートパソコンのDIY修理として「ファンの異音対策」「BIOS電池交換」
「ハードディスクのデータ消去」をしてみました。
ファンの異音対策は、軸と軸受け部分にグリスを塗るのが効果的でした。
こんな小さいファンのスゴイ音に驚きましたが、グリスを塗ることで静かに回るようになりました。CPUグリスが乾燥にも気が付けて良かったです。
BIOS電池交換はしなくてもBIOS設定をすれば使えるのですが、パソコン使うたびに毎回BIOS設定するのが面倒です。
思い切って電池交換してみましたが、マザーボードの裏側だったので分解が大変でした。
ハードディスクのデータ消去は、DESTROYという便利なソフトを使ったので簡単でした。
ディスクトップパソコンだったらケースをはずせば中身が見えますが、ノートパソコンの分解はとても大変でした。
特にマザーボードを固定している隠しネジ(液晶ディスプレイのパネルの裏にある)が見つけられなくて苦労しました。
この記事を参考にする人は、感電や部品の紛失・破損に気を付けてトライしてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。