子どもの運動会やピアノ発表会では、ビデオカメラが大活躍します。
今のビデオカメラは内蔵のメモリに録画するので、パソコンに取り込むのも簡単ですね。
しかし一昔前のビデオカメラはハードディスクやDVD、さらに昔になるとMiniDVテープや8mmビデオカセットに録画していましたね。
昔の我が家ではソニー製ハンディカム「DCR-HC96」を使って、旅行に行ったときはビデオ撮影をしていました。子どもが生まれてからは、内蔵メモリ方式のハンディカムを使っていますが、夫婦の思い出は古いハンディカムで撮影したMiniDVテープに残っています。
久々に見たくなって「DCR-HC96」を探し出して電源を入れてみました。
カセットカバーを開けると、うぃぃ~んという音とと共にカセット入れが出てきました。
何とも言えない、機械的な音と動きですね。
動画を撮影する光学技術よりも、テープの出し入れのメカ設計の方が難しかったのでは?
と思うくらいです。
実際にどんなメカ構造なんでしょうか・・・気になったので分解してみました。
この記事では、ソニー製ハンディカム「DCR-HC96」の分解手順を紹介します。
記事を書いた人:みっく
・エンジニアとして勤務
・社内のサーバー管理、セキュリティ管理も担当
・DIYと料理が大好き、週末は料理担当
1.ハンディカムDCR-HHC96の分解手順
分解する前に、必要なものを準備しましょう。
①メガネタイプのルーペ
年齢が若い人は必要ないかもしれません。小さいネジやケーブルをはずしたりするので、ある程度の年齢の人には必須ですね・・・必須でした。
(視力の問題ではなくて、近くの物を見るとピントが合わないという問題です)
②精密ドライバー
普通のサイズのドライバーでは、ハンディカムの小さいネジをはずせません。
100円ショップの精密ドライバーでも使えますが磁力がついていないと、はずしたネジをハンディカム内部に落として紛失なんて恐れもあります。
また、DIYを楽しみたい人には豊富なビットが用意されている精密ドライバーセットがあると重宝しますね。
③ラジオペンチ
液晶部分やファインダー部分からのケーブルをはずすのに必須のアイテムです。
先端のはさむ部分が細長いラジオペンチを用意しましょう。
コンパクトにまとめられたハンディカムなので、分厚いラジオペンチだとピンポイントでケーブルにタッチできません。また、先端のはさむむ部分にギザギザの無いタイプを用意しましょう。ギザギザがあるとケーブルをはずしやすそうですが、薄いケーブルの被膜を傷つけてしまう恐れがあります。
④ピンセット
コネクタや細いケーブルをはずす時や接続するときに使います。
やりようによってはラジオペンチで代用できますが、ピンセットがあるととても便利です。
100円ショップのピンセットを試してみましたが、全く使えませんでした。
どんなに強くつまんでもホールド力が足りなくて、コネクタすらはずせませんでした。
小さいネジや薄いフレキシブルケーブルをはずしていくことになります。
ネジの紛失やケーブルを断線すると、元に戻せなくなります。
実際に分解する場合は、慎重に自己責任でトライしてください。
レンズ付近のネジ1個(銀色)をはずします。
ハンディカム上部のシューカバーを開けて、2個のネジ(銀色)をはずします。
端子カバーを開けて、ネジ1個(黒色)をはずします。
バッテリー取り付け部分上の、ネジ1個(黒色)をはずします。
液晶画面を開いて、ネジ1個(銀色)をはずします。また、メモリースティックをはずしておきましょう。メモリースティックが入っていると、液晶画面部分がはずせません。
ハンディカム底の、ネジ4個(銀色1個、黒色3個)をはずします。
グリップベルト下の、ネジ1個(黒色)をはずします。
レンズ上部カバーをはずします。マイナスドライバーを使うと簡単です。
レンズ上部カバーの下の、ネジ1個(銀色)をはずします。
上カバーをはずします。
上カバーにかくれている、ネジ1個(銀色)をはずします。
上のネジ1個(黒色)をはずします。
カセットカバーを開けて、灰色のプラスチックカバーをはずします。
上部のフレームをゆるませて、液晶部分をはずします。
液晶部分からの、コネクタ1個とケーブル2ヵ所をはずします。
※ケーブルは薄くて破れやすいので、慎重に外しましょう。
ハンディカム本体から、液晶部分がはずせました。
レンズカバーを固定している、ネジ1個(銅色)をはずします。
レンズカバーからの、ケーブル2ヵ所をはずします。
レンズカバー部分がはずせました。
メモリースティックのスロットを固定している、ネジ1個(銅色)をはずします。
メモリースティックのスロットからの、ケーブルをはずします。
底のプラスチックカバーを固定している、ネジ1個(黒色)をはずします。
底のプラスチックカバーをはずします。
ファインダー部分からの、ケーブル(手前)をはずします。
ファインダー部分の下を固定している、ネジ1個(黒色)をはずします。
ファインダー部分の上を固定している、ネジ1個(銅色)をはずします。
ファインダー部分からの、ケーブル(奥側)をはずします。
ファインダー部分がはずせました。
バッテリー取り付け部分を固定している、ネジ1個(黒色)をはずします。
バッテリー取り付け部分をはずして、ケーブルをはずします。
バッテリー取り付け部分がはずせました。地道に1つずつ部品をはずしていきます・・
底フレームを固定している、ネジ1個(黒色)をはずします。
三脚に取り付ける金具がはずれます。
底のフレームからの、ケーブルをはずします。
ケーブルは黒いロックで固定されているので、ロックをゆるめてからはずします。
底のフレームがはずせました。
いよいよカセット部分の直前まで分解できました。ケーブル3ヵ所をはずします。
ケーブルは黒いロックで固定されているので、ロックをはずしてからケーブルを抜きます。
さらにケーブル2ヵ所をはずします。
このケーブルはロックされていないので、引くだけではずれました。
レンズ部分がはずれました。ようやくカセット部分だけになりました。
カセット部分の黒色カバーをはずします。
黒色カバー裏面の、2ヵ所のツメで固定されていました。
ようやくカセット入れが見えてきました!ネジ3個(銀色)をはずします。
ようやく、カセット部分が取り出せました。
見事なまでにコンパクトに、部品が取り付けられていますね。
ソニーの技術力というか設計力には頭が下がりますね・・・
カセット入れのメカ構造
カセット部分には小型のモーターが取り付けられています。
このモーターでカセットの出し入れの動作をしているようです。
試しに、単三電池2本を直列にして(約3V)電極からのケーブルをあててみます。
右側にプラス、左側にマイナスをあてると、モーターが動きました!
複雑なギアの組み合わせで、カセット入れが上がってからパカッと開きました。
芸術品のような精巧さですね。
カセット入れを下げるには、モーターにあてる電極を逆にします。
右側にマイナス、左側にプラスをあてると、モーターが動きます。
モーターが動いて、カセット入れが下がりました。
この小さいモーター1個の動きで、カセットの出し入れをしているのに驚きです。
カセット入れはギアが複雑に組み合わさっていますね・・・
これ以上の分解は元に戻せなくなりそうなので止めました。
元に戻す時の注意点
分解してカセット入れのメカ構造を確認したので、元に戻します。
分解手順の逆の方法で元に戻していきます。
ネジの取り付けは簡単ですが、ケーブルの取り付けがちょっと難しいです。
ここでは、特に難しかったケーブル取り付けのコツを紹介しますね。
カセット部分とカセット入れを接続するケーブル5ヵ所のうちの小さい2ヵ所ですが、
基盤の裏のコネクタが見えにくいので慎重にピンセットで押し込んでください。
2ヵ所を差し込んだら、残りの3ヵ所のケーブルです。
こちらはケーブルをコネクタの奥まで差し込んでから、黒色のロックを閉じてケーブルを固定します。
底のフレームからのケーブルの取り付けですが、黒いロックで固定します。
ケーブルをコネクタに差し込んでから、黒いロックを押して固定します。
バッテリー取り付け部分のケーブルをコネクタに差し込みますが、写真の黄丸の部分が干渉して差し込みにくいです。強引に差し込もうとすると断線しそうなので、慎重に差し込みましょう。このケーブルは、電源のケーブルになります。
ケーブルをコネクタの奥までしっかり差し込まないと、電源ONしても通電しません。
(通電しませんでした・・・奥まで差し込んだら通電しました)
液晶部分のケーブル3ヵ所のうち、幅の広いケーブルが液晶用のケーブルです。
コネクタの奥までしっかり差し込まないと、液晶が映りません。
(映りませんでした・・・奥まで差し込んだら液晶が映りました)
まとめ
今回は、ソニー製のハンディカム「DCR-HC96」の分解方法を紹介しました。
MiniDVテープに録画する古いハンディカムですが、複雑なメカ構造でMiniDVテープを動かしていました。
まさに芸術品のような精巧さですが、ギア(歯車)のかみ合わせ1つで動かなくなってしまいそうですね。
今はDCR-HC96は引退して内蔵メモリ型のハンディカムを使っていますが、動かなくなってしまう前にデジタル化して取り込んだ方がいいですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。